
2018年、伊丹空港(大阪国際空港)が50年ぶりの大リニューアルをしました。
その際に伊丹空港の中央エリアに制作された巨大な映像作品のための音楽を石田多朗が担当しました。
本作品はピアニストの岡野勇仁さんに非常に多くの労力を割いていただいています。
リニューアルされた伊丹空港は、
まるで高級デパートのように美しくて楽しい空間になっていました。
LIL株式会社の橋本さん、P.I.C.Sの弓削さんたちが作られた映像は
大阪の四季と水をテーマにしたもの。
常に流れ続ける映像はいつまで観ていても飽きません。
岡野さんには、僕からお伝えした簡単なコード(和声)をもとに
たくさん即興的な演奏をしていただきました。
そのピアノをベースに、電子音響や自然音などを加えて仕上げています。
■音楽を作るにあたって
もともと、映像のための音楽として作曲をしたのですが、
作品自体が非常に大きなものであるため
音楽がその周辺一体のBGMのようなるだろうと考えていました。
実際に伊丹空港に行ってみると、たしかにそのとおりで、
作品からかなり離れても、音楽が聴こえてきます。
そして、空港はその性質上、
どうしてもお客さんの待ち時間が長くなる。
長時間、同じ場所にいるとき、
僕は 同じ音楽が繰り返し流れていると
とても気になってしまって落ち着かなくなります。
こういう音楽を作るとき、まずはそれを避ける必要がある、と考えています。
そのため、音楽的な美しさはなくさないまま、
ある意味で薄く、繰り返しに気づきづらい音楽に仕上げています。
こういう事例のときには、極端に言うと、
流れていることに気づかないような音楽。
流れていることに気づかないけれど、なんとなくいい雰囲気になる音楽。
空気清浄機のような、そんな音楽を目指して作っています。
もし伊丹空港に行かれるチャンスがあれば、
是非とも、橋本さんたちの作られたこの映像と、僕と岡野さんで作った音楽を
楽しんでいっていただけると嬉しいです。